駆け抜ける、日々

俺たち別れようのネタバレ 第4章 観覧車


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俺たち別れようの
文字起しの記事を書いていきます!
 
第4章はデートの詳細のお話。
 
前回の詳細はこちらからどうぞ
俺たち別れよう 第3章 初デート
   

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◆第4章◆
 観覧車
  

「今日は俺が」
 
遊園地のチケット売り場で
私がバッグから財布を取り出すと
タクヤは私の顔の前に
右手をビシッと出して、そう言った。
  

「え、でも、悪いよ」
 
「大丈夫。
母さんから援助してもらいました」
 
タクヤが恥ずかしそうに
1万円札を見せる。
  

私はそれを見て吹き出してしまった。
 
「お母さん太っ腹だね」
と言うと、タクヤは
「実際に腹も太い」と
珍しくジョークを返してきた。
 
タクヤのテンションが
いつもよりずっと上がっている
ことに気づく。
  

「今日は俺が、ってことは
またデートしてくれるの?」
 
私は少しからかってみたくなって
そう聞いてみたら
タクヤは聞こえないふりをしていたけど
耳が真っ赤になってたの
私は気づいてたよ。
 
ところどころ錆びついて塗装がはげた
ゲートをくぐると
そこはお客さんもまばらな
こぢんまりとした遊園地だった。
 
「あの時は大きく見えたけどな」
 
「私、もうちょっと大きいところ
想像してた」
  

「ごめん、がっかりした?」
 
「ぜんぜん!
私混雑したところ苦手だし!」
 
「ならよかった」
 
「落ち着いてるけど
コーヒーカップも
ジェットコースターもあるじゃん」
 
私は明るく返す。
  

それから5時間。
 
園内の小ささが幸いしてか
人の少なさが幸いしてか
私達は、ほぼすべての
アトラクションを制覇してしまった。
 
タクヤは段々と笑顔になっていった。
 
コーヒーカップで回転しすぎて
気持ち悪くなってしまうなんていう
新しい一面も見れた。
 
日が暮れはじめて
閉演時間が近づいてきている。
 
この遊園地は
東京の大きなテーマパークみたいに
パレードとか花火の打ち上げとかは
もちろんなかった。
 
夜にはもう閉まってしまう。
  

「最後、あれ乗ろ?」
 
私は最後に
遊園地の中央にある小さくて
可愛らし観覧車を指さす。
 
タクヤは少し照れたように
うなずいてくれる。
 
暇を持て余していそうな
係員のお兄さんが
ゴンドラのドアを開けてくれる。
 
私とタクヤは向かい合って座った。
 
きしんだ音を立てながら
ゆっくりとゴンドラが登っていく。
 
窓の向こうには、きれいなうろこ雲と
それを染める秋の夕焼けが見える。
 
私が夕焼けに見とれていると
タクヤが私の顔をじっと見ている
ことに気づいた。
 
少しからかってみる。
  

「なんで見てるの?」
 
「別に見てないよ!」
 
「えぇー?なんか
視線感じだよ?ひひひ」
 
「気のせい!」
 
タクヤは焦っている。
 
私もなんだか嬉しくなってくる。
 
「上から見たら
きっと、もっと小さく見えるな」
  
観覧車
  
ゴンドラが頂上に差し掛かる頃
タクヤがそんなことを言うから
私はつい窓から下を
覗きこんでしまった。
 
「ひ……!!」
 
そこで私は自分が高所恐怖症で
あることを思い出した。
 
けど、手遅れだった。
 
地上を見た瞬間に頭がクラクラして
気分が悪くなってしまった。
 
「大丈夫か?」
 
座席にへたりこむ私を見て
タクヤは心配そうに私の肩に触れて
そう聞いてくれる。
 
「ごめん……
私、高所恐怖症だったの……
思い出しちゃった」
 
「へ?」
  

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タクヤは呆れた顔をしたけど
その後すぐに優しい顔になって
 
「隣座れ」
 
って言ってくれた。
 
私は素直にタクヤの隣に座る。
 
「目つぶってた方がいいよ」
 
「うん……ごめん、そうする」
  

「気持ち悪い?」
 
「うん……くらくらする」
 
「あの、肩に頭
のせてもいいよ」
 
「うん……ありがと」
  

タクヤは高い肩を少し下げてくれる。
 
私は頭をタクヤの肩にのせる。
  
観覧車2
  
しばらく、ゴンドラのきしむ音だけが
響いてたけど
突然タクヤが無言で私の手を
握ってくれた。
 
私はタクヤと初めて手をつないだ。
 
びっくりしたけど
私は何も言わなかった。
  

クラクラする視界に耐えながら
高所恐怖症が役に立つことも
あるんだなって
自分でも笑っちゃった。
 
ゴンドラが地上に降りるまで
タクヤはずっと手を握ってくれてた。
 
降りてもずっと握ってくれてた。
 
係員のお兄さんはゴンドラから
降りてきた私達を見て
ニヤニヤしていたっけ。
 
駅まで向かう間も
電車に乗ってからも
駅で別れるまで
ずっと手をつないでた。
 
でもお互い照れくさくて
ほとんど言葉はない。
 
でも、言葉はなくても
手から伝わってくる。
 
タクヤの体温を通して
想いが伝わってくるように思える。
 
その日から
タクヤと私は彼氏と彼女に
なったってことでいいよね?
 
面と向かって
宣言したわけじゃなかったけど
私が手をぎゅってしたら
ぎゅっと握り返してくれたから
私はそう思っていいよね?
  

それから、私はタクヤと
色んなところへ行った。
 
タクヤはいつでも
待ち合わせに遅刻してきたけど
「ごめん」って呟きながら
手を差し出されると
怒ってた気分がすぐにしぼんで
手を握ってしまう。
  

まるで魔法にかかってるみたい。

   
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はい!ということで
サキとタクヤはこのデートをきっかけに
付き合うようになった、と。
 
サキは、タクヤをからかうのが
ほんとに好きですね。笑
  
そして、係員のお兄さんがやらしいw
 
タクヤが毎回のように
デートに遅刻してしまうのはきっと。。
  
付き合い始めた二人が向かう道は
はたしてどんなものなのか。
 
まだまだ続きます!


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